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    ◆◆  REVIEW  ◆◆



呪われた傭兵アッシュに託された「使命」

『ダイナソア〜リザレクション〜』は、個性的なRPGだ。誤解を恐れずにいってしまえば、こんなに陰鬱な設定のRPGというのも珍しい。登場するキャラクタはいずれも濃い影にふちどられている。主人公であり、プレイヤーキャラであるアッシュは腕のいい傭兵。つまりプロの戦士である。だが、不吉な戦士でもある。どんな戦いからも生還するが、彼が参加した軍は必ず敗れる。1回や2回なら誰にでも起こりえること。だが、それが延々と続くと伝説になる。アッシュは、死に神扱いを受けることに。戦いが収まり平和が訪れ「失業」したアッシュは「白い蝶」に導かれるままザムハンの地を訪れる。町の長老によると、アッシュにはある「使命」が託されているという。その使命を果たさない限り、この地の呪縛から逃れることはできないというのである。アッシュ本人ばかりでなく、大地そのものも呪われている。


パーティーを組むことが、こんなに心強いことだったとは・・・

の途中で巡り会い、仲間に加わるキャラも同じく心の底に苦しみや悩みを抱えている。修道僧のオルリックは娘を亡くし、信仰の意味を見いだすための旅に。精霊使いのエリスは精霊が寄りつかなくなってしまい、その原因を見いだすために旅に出ている。魔法使いの呪いを受けた盗賊のワッツ、「失われた歌」を求めてさまよう吟遊詩人のヒース。つまりは、みんな自らにかけられた呪いを見つめながら生きている。彼らはザムハンという土地に仕掛けられた呪いに呼び寄せられるように集まってくる。

われただの、陰鬱なだのとネガティブなイメージを重ねすぎたろうか。こんな暗い時代に、そんな暗いゲームやりたくねー! という声が聞こえてきそうである。だが、設定が陰鬱だからといってストーリーそのものが、ゲームそのものが陰鬱だというわけではない。逆である。暗闇があるから、光は際だつ。ストーリーが進んでいくにしたがって見えてくる希望の光は、舞台となる世界を覆う闇が深ければ深いほど鮮やかに輝く。最初は一人で歩き回るアッシュだが、次第に仲間が増えてゆく。パーティーを組むことが、こんなに心強いことだったとは・・・。仲間に感じるほんわかとした暖かみは、お互い傷を抱えたもの同士だから、に違いない。


グラフィック、プログラムはすべて一から作り直し

ームシステム自体は、1990年にリリースされた『ダイナソア』のエターナル化ということで基本的な変更は加えられていない。そうでなければエターナル化ではなくなってしまう。だが、実際には元のゲームのイメージを忠実になぞりながら、システムやグラフィックはすべて作り直されている。例えば、うっそうとした森の中を歩いていると、突然視界が開けてはるか彼方に城が見えてくる。以前は疑似3Dだったものが、エターナル版ではフルポリゴンで描画されているのだ。それがあまりにも自然に見えるので、3Dってこんなに位置感が掴みやすかったっけ? という思いにかられる。だが、これはフルポリゴンで描かれたマップだからこそ、なのである。

ップといえば、最近はマッピングが必要ないゲームも多くなっているが、『ダイナソア〜リザレクション〜』では、マッピングは必須だ。これは位置感が掴みやすい、というのとは別の話。もちろん、自キャラのいる周囲はマップが自動的に生成されて、画面右上に表示される。だが、全体のマップは自分で作らなくてはならない。これを面倒と感じるか、楽しさと受け取るか? 言えるのは、自ら書いたマップを完成させて、ゲームを制覇したときの喜びは何物にも代えがたいということ。もちろん、エターナル化にあたって安易にオートマッピングを取り入れなかったのは大正解である。マッピングが必要なマップと、オートマッピングありのマップでは作り方がまるで違ってくるからである。


タクティカルな楽しさが味わえる戦闘モード

闘には、陣形という考え方が取り入れられている。味方キャラの5人を、フォワード、ハーフバック、フルバックの前後3列、左右も右左真ん中の3列。つまり、3×3の9マスのいずれかに配置する。各武器や、攻撃方法には決まった射程があるので、射程の長い武器を持っているキャラを後方に、短い武器のキャラは前方にといった配置をしていくわけである。もちろん、HPの低いキャラを後方に配置して他のメンバーが守るといった使い方もできる。敵はこまめに配置を変えながら、こちらに攻撃してくる。こう書くと、複雑な戦闘モードと思われそうだが、実際の操作は敵キャラをクリックするだけだ。特殊な攻撃をする時や、瀕死のキャラを助けるといった時以外は、こうしたシンプル操作で切り抜けられる。RPGでは繰り返される戦闘が楽しめるかどうかで、ゲームの面白さの半分が決まるといえるのだが、これはザコ相手にはイージーオペレーションで通し、ちょっと強い敵が現れると本腰を入れて(ちょっと背筋を伸ばしながら)、強敵には超真剣に頭を使って(罵声を浴びせながら)戦うというメリハリが効いていてプレイヤーを飽きさせないのである。熱くなれる戦闘モードである。


重厚長大なシナリオ展開

ソコンのRPGでは、ある時期からさくっと終わるタイプのものが増えてきたが、この『ダイナソア〜リザレクション〜』は、ボリュームたっぷり。もうすっかりおなかいっぱいになるはず。だが、時間を稼ぐためにただ冗長にあっちのものをこっちに、こっちのものをあっちに運ぶだけのシナリオではない。もちろん、強大なボスを配して、集中的なレベルアップを強いるゲームでもない。しっかりとした世界観に基づいた重厚なシナリオが展開していくのだから、飽きることはないはず。久しぶりの「骨のある」RPGにお目にかかれた、というのがテストプレイの印象だ。

かも、この作品には裏シナリオがあって、裏シナリオ用のキャラクタも3人用意されている。通常のシナリオとは全く違うストーリー。つまりは、一つの作品で2度は楽しめる。しかも、オリジナルでは裏技的な操作を行わないと裏シナリオには行けなかったのだが、このエターナル版では2回目のプレイでは、簡単に裏シナリオに行けるようになっている。


RPGの面白さはすべて備えている

の『ダイナソア〜リザレクション〜』、あらゆる意味で、個性の強い、クセのあるゲームといえそうだ。だが、オールドユーザーや「通」好みの作品かというと、そういった人たちだけに独占させるのは惜しい作品。この作品のエターナル化は、『イース』シリーズを遊んで育った日本ファルコムの若いプログラマがオリジナルの『ダイナソア』をプレイして惚れ込み、「これはぜひエターナル化すべき」と提言したことから始まっているという。ゲームが好き、RPGが好きという人にはこのゲーム「はまれる」はず。

RPGの面白さは、ビジュアル面のこけおどしや、「新システム」にあるのではなく、シナリオ、戦闘、謎解きを総合した絶妙なバランスにこそあるからだ。そして、この『ダイナソア〜リザレクション〜』には、その「絶妙」が備わっているのはいうまでもない。


                                      
2002.10  加藤久人

 
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