■メタルらっこ

　クロスベルで起こった異変から、数週間が経ったあ
る日、ロイドとティオは保養地ミシュラムにある、テ
ーマパークに来ていた。
　前回は特務支援課の全員で来ていたが、今回は、ロ
イドとティオの二人っきりである。

　「少し休憩しようか。」

　テーマパークに来て数時間、二人は広場にあるベン
チに腰を掛けた。

　「ところでロイドさん、今日の私を見て何か言うこ
とあると思うのですが？」

「ん？　似合ってるよ。」

　「それだけですか？」

　どうやらティオは、その程度の返事では満足いって
ない様子だ、対応に困ったロイドは目を逸らした、す
ると泣いている子供の姿が見えた。

　「えっと……あ、あそこに泣いている子供がいる、
けど迷子かな？」

話を逸らされて、さらに不機嫌になったティオだが、
実際に泣いている子供がいるので、そんな事を言って
いる場合ではなかった。

「ねぇ、君、迷子？」

ロイドが声をかけるが、子供は泣いているばかりだ。

　「困ったな……」

　「とりあえず、ここの警備員に迷子の事と、この子
の親を探してもらうように要請しましょう。」

　「うん、それと俺達も子供の親を探そう、そのほう
が早く見つかるかもしれないしね。」

　そうして、迷子の両親を探し始め、その数時間後、
二人は、無事に両親を見つけることできた。

　「なんとお礼を言ったらいいのか。」

　子供の両親は、二人に深く頭を下げた。

　「いえ。当然のことですから、それよりも、今度か
ら子供さんのことをちゃんと見てくださいね。」

　「じゃあね、おにいちゃんたち。」

　二人は親子を笑顔で見送り、再び遊ぼうと思ったが
太陽が沈み始めていた。

　「もうこんな時間か、もう戻らないとな……」

　迷子の親を探しているうちに、夕方になっているこ
とにようやく気づいたロイドは申し訳なかった頭を下
げた。しかし、ティオはそんなロイドに対して、ロイ
ドさんらしいと言った。

　「それに、親子揃って帰ることができたんです、そ
れはとてもいいことだと思います。」

　「ティオ……」

　ロイドは、両親と離れているティオが、さっきのよ
うな親子を夢見ているのではと思ったが、ティオは

　「気にしないでください、今は特務支援課が私の帰
る家です。」

　心配しなくて良いと言い。

　「この埋め合わせは、きっとしてくれるで
しょうから。」

　そう笑顔で答えた。

　「ああ、また来よう。」

　その言葉にティオは喜んだが、後に続く言葉で一気
に不機嫌になってしまった。

　「あ、セシル姉達も来たいとか言ってたら、今度
はセシル姉達と一緒……って痛い！？」

　ロイドの足を思いっきり蹴ったティオは、そのまま
船の方に歩き出した。

　「ちょっとまって、ティオ。」

　痛い足を押さえつつ、急いでティオの後を追うロイ
ドだった。
そして、寮に戻った二人は、エリィとランディに今
日の事を話すと、ロイドはエリィに怒られ、ランディ
には呆れられるのであった。