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■リマ・ゲッテン

【タイトル】 勇者ねずみのちっちゃな大冒険 (上) はじまり
【作者】 リマ・ゲッテン

昔々、あるところに。

新聞出版者の壁に、ねずみが一匹すんでた。

そのねずみの名前は、エフィという。
エフィは毎朝、人間がどたばた、機械はカタカタする
前に、起きていた。
そして冒険めいた気持ちで、焼きたてのふわふわパンが
床に落ちてないかと、探しに行った。
今日も、そのじゅんびをしてた。

頭には緑色の帽子。手には前に見つけたペンナイフ
の片方。千の紙を切ったその刃はまだ鋭く、すごく
頼りそうだった。エフィはその愛剣の名前に悩んだ
けど、新聞社の一番怖い言葉を思い出したおかげで、
大きな人間でもおそるその言葉に決めた。

何よりも、今日は大切な日だった。お隣に見たかけた
若いねずみの娘さんにパンをあげたい日でした。
だから、何があっても、今日はそのふわふわパン
を見つけないと!

エフィは自分の装備を確かめた。これなら、どんな
ゴキブリにも勝てると思って、出発した。

そして静かな家の中に新しい音が聞こえた。
なぜか、その新しい「こえ」を聞いて、エフィは
怖い思いをした。今まで聞こえた物音より、ずっと
ずっと怖かった。「なぜだろう?」とエフィは思った。

エフィが足を止めた。そして、その音がも一度
くらい部屋の中で響く。

「にゃああ〜」

ネコだ!ネコがうちにやってきた!

■リマ・ゲッテン

【タイトル】 勇者ねずみのちっちゃな大冒険 (中) ぜったいぜつめい
【作者】 リマ・ゲッテン

も一度その声が聞こえた。「にゃあ?」
今度はなぜかちょっと疑問的だった。

恐る恐るエフィが近ずいてきた。やがて見えたその
姿は、今まで見た敵の仲で一番怖いものだった。

ネコはエフィより何倍も大きくて、目がぎらぎら
輝いてて、牙は白くて長がかった。尻尾が時々、
右から左へ振ってきた、そして最初の場所へ戻ってく。

・・・ネコの牙が本当に大きいかった。エフィも、
あまりの恐ろしさに目がくらめた。

ガタッ!いきなり静かな部屋の中で、扉が開ける
音が聞こえた。

エフィはその急な音で現実に戻った。

小走りでビューんと逃げて、そして壁の中からネコ
を見た。

ネコは動かず、ただ尻尾を振っていた。

エフィも動かずに、ずっとネコを見ていた。

でも日が昇っても降りても、どんなにエフィのお中
がごろごろしてても、猫は動くことはなかった。

残念なことに今日はあきらめるしかない、
とエフィは決めた。

「あきらめるな!もしかして明日にネコが消えるん
じゃない」と自分に言い聞かせた。
「そして明日は飛びっきりのおいしいパン
を見つけて、あの子とご馳走しよう!」

そう考えて、エフィは眠りにつけた。

でも朝一に起きたら、ネコはまだいた。
そして明後日も。

もう限界、とエフィは思った。
腹が減った!あの子に会いたかった!

でもネコはやっぱり怖い・・・

エフィはため息を立てた。今日こそ、ネコのガード
に隙を見つけないと、
本当に危ない状況になってしまう。

それにずっと一人壁の中で隠れるのは楽しくもない。

そう思って、エフィはも一度出かける準備をした。

頭には帽子。手にはペーパナイフの片方。

そして覚悟を決めたエフィの前に毎夜、夢に現れる
ねずみちゃんだった。なぜか新聞社のビルの中
に立っていた。

「どうしてここに?もしかして僕のことが心配?」
エフィが思わず、わくわくした。
でもその誘拐な気持ちは長く持たなかった。

ねずみちゃんの後ろに、でっかい影が立っていた。
その影はネコの形をしていた。


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