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■ゆう

【タイトル】 愛情の料理
【作者】 ゆう

「うふふ、できたわ」
 レンがエステルたちと家族になってから数日がたち、
レンが料理を二人に披露していた。
「うわー、すっごいおいしそう」
「うん、いいにおいだね」
 二人もそれをほめ、おいしそうに食べ始めた。そんな
様子をもじもじとしながら彼女は眺めている。
「……どう、かな?」
 その声は二人に聞こえないんじゃないかと思うほど小
さな声だったが、

「すっごくおいしい!」

 エステルが即答。
「と、当然よ。レンがつくったものなのよ。おいしいに
決まってるじゃない。エステルの料理なんか比べ物にな
らないわよ」
「むむ、悔しいけどこれには勝てないわね……」
「ふふ、そうに決まってるわ」
彼女は一安心したように笑顔を作った。そしてもう一
人に感想を聞いた。
「ヨシュアもそう思うでしょ、レンの料理のほうがエス
テルのよりおいしいって」

「うん、すっごくおいしいよ。けど僕はエステルの料理
のほうがおいしいって感じる」

「え?」
その瞬間、彼女の顔はとても悲しそうな顔になった。
「味だけ見れば確かにレンの料理のほうがおいしいよ。
でもね、エステルの料理の比べると大きく負けてるとこ
ろがあるんだ。食べてもらう人に、家族にこめる愛情っ
て隠し味がね」
「なによその台詞、すっごくくさいしはずかしいんです
けど」
真顔で言うヨシュアにエステルは少し引き気味に答え
る。
「あい、じょう?」
けれどレンはそれをまじめに捉えていた。
「うん、愛情。レンはまだうまく分からないと思うけど
僕たちと暮らしていけば自然に分かるよ」
「うん、ヨシュアのくさい台詞はともかく、レンもこの
気持ちが分かるよ」
「……ほんとに?」

「嘘なんて言わないわよ、だってレンはもう家族なんだ
から」

 二人の暖かな気持ちをまっすぐにぶつけられて愛情が
何なのかレンは少しだけ分かった気がした。

■ゆう

【タイトル】 風邪と看病
【作者】 ゆう

 その日ロイドはベッドで寝込んでいた。
「う〜ん」
「風邪ね」
 風邪である。
「今日はこのままおとなしくしていてくださいね」
「そーだぜ。風邪気味だったのに無理して仕事してるか
らそうなるんだ。じゃ、俺たちは支援要請片付けてくる
から、しっかりと休んでろよ」
「キーアは日曜学校でしたね」
「やだ! ロイドの看病するから今日は休む!」
 ロイドはキーアの声を聞きながら眠ってしまう。

 誰かがいるような気がしてロイドは目を覚ます。
「あ、起こしちゃった?」
「……エリィ?」
頭に載っているタオルを手に取り起き上がる。
「もう大丈夫なの?」
「うん、寝てたらだいぶ良くなったみたい。あの、もし
かしてずっと看病しててくれたの」
「ええ、もう夕方よ」
窓の外を見ると空はすでに紅く染まりつつあった。
「他のみんなは?」
「ええっと」
夕方だというのにここには二人しかいなかった。ティ
オとランディはともかくキーアまでいないのはセルゲイ
が気を利かせてくれていたのだが、ロイドがそれに気づ
くことは無い。
「もしかして今はエリィしかいないの?」
「う、うん」
「そっか、じゃあ今は二人っきりなんだね」
瞬間、エリィの顔が真っ赤に染まりロイドから顔をそ
らした。
(もう……どうしてこう無自覚なんだろう。私が意識し
ないようにどれだけ苦労したか)
ロイドは何も意識していないのかクエスチョンマーク
を出しながらまた横になり、眠ってしまう。
「ね、ねえロイ……ド」
振り向くとそこにはすでに寝てしまったロイドがまだ
無防備な寝顔をさらしていた。
「私のことを仲間として信用してるからかしら。むしろ
仲間としか見られてないのかな。こんな安心しきった顔
をして。……起きないわよね」
少し躊躇しながら寝顔に顔を近づけていく。
そしてほほにキスをしてしまう。
(……っ!? 寝てるからって。わ、私な、なにを)
あたふたしてしまうエリィだがロイドを見てすぐに落
ち着きを取り戻す。なぜならまったく起きる気配が無い
からだ。
「これだから鈍感ロイドは……おやすみなさい」
一部始終を見られていて再度慌てふためくが、それは
また別のお話。


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