社長インタビュー

Falcom President Interview

1981年の創業から30余年。コンピュータゲームの発展と共に歩んできた日本ファルコム。
長い歴史を持ちながら失われないベンチャー精神。そんなところが長く多くの方に支持される理由なのかもしれません。
ファルコムの若きリーダー近藤季洋に日本ファルコムという会社について、そして新卒入社10年で代表取締役社長に就任した自身の軌跡を語ってもらいました。

社長インタビュー

社長から皆さまへのご挨拶をお願いします。

日本ファルコムは、2017年3月に創立36周年を迎え、2016年12月には上場13周年となりました。これも長年にわたって、ゲームユーザーの皆様の支持をいただいてきた結果であると考えています。

2013年の国税庁の調査によると、日本の全法人数は約260万社。その内、大企業も含めて、黒字企業は29.1%。残り70.9%が赤字だそうです。 また、倒産や解散などによって、法人設立後3年で35%、5年で85%の企業が消え、10年以上存続できるのは6.3%。 20年続く企業は0.3%、1000社に3社。30年存続では0.025%、1万社に2.5社とも言われています。

ファルコムは創業以来、一度も赤字を出したことがありません。借金もしたことがありません。 こういうことからもお解りいただけるかと思いますが、ファルコムは、スタッフが思う存分腕を揮うためには、安定した環境が必須だと考えています。 安心して仕事に集中し力を発揮することは、自己実現、達成感、充足感に繋がっていきます。 企業の最も重要な財産である「人」を大切にしたいとの思いから、盤石な土台作りと維持を経営の根幹に置いています。 この堅実さが30年以上ゲームを作り続けてこられた理由のひとつでもあると思っています。

こういった経営方針は、時に「地味」と揶揄されたりもするのですが、音楽フリー宣言のような挑戦的な試みや、ライセンスビジネスを通した 様々な業種との交流や共同制作など、ファルコム自らの可能性を広げる活動も積極的に行っています。

最近は、ソーシャルゲームなども加わり、大量のゲームが日々消費され忘れ去られていきます。 そういう状況の中で、僕たちファルコムの作るゲームを楽しみに待っていてくれる方が確実にいらっしゃるということ。 これこそがファルコムならでは強みだと思っています。 この「強み」を、僕は、ファルコムとプレイしてくれたお客様との間に育まれてきた「キズナ」と感じています。

一朝一夕には築けない「キズナ」=「ファルコム」というブランドへの信頼。このかけがえのない「信頼」を大切にしていきたい。

より太くより強固な「キズナ」をお客様と結べるゲーム作りを今後も貫いていきたいと思います。

近藤季洋

代表取締役社長

近藤季洋

1975年生 同志社大学経済学部卒
1998年 日本ファルコム入社
2005年 Projet Manager担当部長
2006年 取締役就任
2007年 7月 社長就任
現在もプロデューサー、ディレクターとして、自らゲーム制作の陣頭指揮を執っている。

近藤社長とファルコムの会い

社長がファルコムを知ることになったきっかけは何ですか?

昔からゲームは好きで、いろんなゲームを子供の頃からよく遊んできたので、ファルコムという会社の名前はいつの間にか知っていましたね。

では、初めてプレイしたファルコムのゲームは?

「英雄伝説III白き魔女」です。初版のパソコンPC-98版です。 今、この初版をプレイするのはむずかしいですが、Windows版「英雄伝説III白き魔女」(パッケージ版/ダウンロード版)、 PSP版「英雄伝説ガガーブトリロジー白き魔女」(バンダイ)が発売されていますので、ぜひプレイしてみてください。ちなみに、Windows版「英雄伝説III白き魔女」は、僕が初めてゲーム制作に関わった作品です。

英雄伝説 白き魔女

初めて出会ったのは『英雄伝説 白き魔女』
社長にとって思い出深い作品。


英雄伝説ガガーブトリロジー

英雄伝説ガガーブトリロジーの第1作目。数多くの賞を頂き、高い評価を受けた人気RPG。特に心温まるストーリーが好評で、全てのストーリーRPGの原点と言われる作品。

「白き魔女」をプレイしたのは何歳ぐらいの時でしたか?

大学生のときです。子供の時からファルコムという名前は知っていましたが、ゲームをプレイしたことはありませんでした。

きっかけは?

「英雄伝説III白き魔女」を手にしたきっかけは大学で入ったゼミなんです。

大学では経済学部に在籍していたのですが、将来自分のしたいことがまだ見えていませんでした。 とりあえず銀行関係の就職に有利そうなゼミにでも入っておこうかなと思っていた時期に、たまたまインターネットの研究をしているゼミの広告を見つけたんです。 聞きなれないけど、ちょっとカッコ良さげな「インターネット」っていうカタカナ語と、「これからの時代、爆発的に広がっていくメディアになるだろう」っていうキャッチコピーに惹かれて、「これだっ!!」って思わず飛びついてしまいました(笑)

で、そのゼミに入るにはパソコンが必要だったので、パソコンを購入したんです。したんですけど、パソコンを何に使うのか、あの時はほとんどわかっていませんでしたね(笑)。 「買ったはいいけど何しよう?」って感じでパソコンショップに行ってみたらファルコムのゲームソフトがたくさん並んでて、「とりあえずゲームをやってみよう」ということで、あの頃、一番人気が高かった「白き魔女」を購入したんです。

プレイしてどうでしたか?

衝撃的でした。
シナリオと音楽、グラフィック…どれも素晴らしくて感銘を受けました。

それでファルコムに就職しようと思ったんですね?

いや、全然思いません。
ゲームは好きでしたけど、作りたいとかゲーム会社に就職したいとか全くなかったですね。というか、ゲーム制作に携わるという発想がそもそもなかったです。

それがどうしてファルコムに就職することになったのでしょう?

ちょうどブラウザが普及し始めた時期で、インターネットゼミでホームページを作る課題が出たんです。何を作ろうか考えていた時に、傍にあった「白き魔女」が目に入って。ファンサイトを作ってみたんですよ。公開したらどんどん人が集まるようになって、結果、ファルコムファンサイトの中でも人気の高いサイトに成長しまして。

サイトオープンから1~2年後くらいには、オフ会というのも流行りだしていて、自分のファンサイトでもオフ会をやったんです。 そのオフ会に参加するみなさんが非常に熱心でね。高校生からおっさんまで、様々な方が集まってファルコムについて本当に熱心に語るんです。そうそう、現役のゲームディレクターという方もいました。そういうみなさんの熱いお話を聞いているうちに、ファルコムとはどういう会社なんだろうと興味を持ったのがはじまりですね。

近藤季洋

他のゲーム会社に就職しようとは思わなかったのですか?

思いました。
でも、自分が立ち上げたファンサイトがファルコムのゲームのものでしたし、ファルコムファンの方々と日々接しているので、ファルコムという会社についての情報が一番自然に耳に入ってきましたし、そういった環境だったので、やはり第1志望はファルコムでした。作っているゲームの内容がオリジナリティがあって、コンテンツの内容が自分のセンスに合ってるように感じていたことも大きかったです。

インターネットが普及されたばかりで、企業もまだポツポツとホームページを立ち上げ始めたような頃でしたが、ファルコムはかなり早い時期からしっかりしたホームページを公開していて、こういう仕事なら手伝えるんじゃないかなぁと思って、思い切って応募しました。

それから9年。 さまざまな経緯を経て今ここにこうしています。

近藤社長から見たファルコムの

ファルコムで働く魅力は何だと思いますか?

やる気と適正次第でどこまでも仕事が広がっていくという無限の可能性ですね。
年齢、性別、経験に関わらず、幅広く仕事を任せてもらえたり、専門的なところを追求したいならそれも出来ます。 自分の興味や能力がどういった方向に向いているのか、日々の仕事を通じて結果を出し実績を積みながら探っていくことが出来ます。自分の可能性を最大限試せる場所だと思います。

具体的にどういうことでしょうか?

僕のケースを例にしましょうか。
僕は総合職で入社しました。 最初の仕事は社内のサーバーを立ち上げることでした。秋葉原へ研修に行って、社内でいろいろと検証できるようにユニックスサーバーを立ち上げる仕事を任されたんです。 それと平行して、ファルコムサイトのデザインや企画、中身の文章を自分で書いたり、グラフィックを加工したり、実際にタグを打ってページを作ることもやりました。その関連で制作中のゲームもプレイしていたんですが、プレイレポートの提出が課せられていたんです。 「ゲーム会社のスタッフとしてどういうレポートを提出すべきか考えて書け」と言われて。 はじめのうちは、誤字脱字やバグ報告で精一杯だったんですが、だんだんね、そういう仕事をしているといろんなアイデアが浮かんでくるんですよね。 「もっとこうしたら面白いんじゃないか」、「このままだとあまり気持ちよくないからどうしようか」とか。 それで、徐々に改善案なんかをレポートに書くようになったんです。

それが実績になって、ゲーム制作を手伝うよう話があったんですよ。 最初に携わったのはWindows版の「白き魔女」で、仕事内容はWindows版を出すにあたって追加要素を考えて、それを実装することでした。

近藤季洋
近藤季洋

企画から実装までを一人で……ですか? 全く経験がないのに?

そうです。
序盤にプロローグを追加しようと思う、期間は1週間と言われたと、現場に行って相談したら、必要なスクリプトを覚えるのに1週間かかると言われてしまいました(笑)

ええっ!? それでどうしたんですか?

ゲームシナリオをやってみたいと常々周囲に漏らしてましたし(笑)
ちゃんとウォッチしてくれてたんだ、これはチャンスだと思いましたから、結果だすぞ!と、やる気満々でしたが、すぐに自分の甘さを思い知り、必死にシナリオの研究をしたのを覚えています。

何もかもが初めてでしたけど、研究しながらテキストを自分で書いて、スプリクトを習得しながら入力を行って、最後に動作チェックをするという一連の作業をきっちり1週間で終わらせましたよ。

終わらせたんですか……すごいです。

今思えば、そうなることを見越して任されたんですね。
その時々の各人の興味やスキルを見極めて、きちんと「結果が出せる」仕事としてチャンスの場を準備してくれるんです。 結果を出すことで周囲にも認めてもらえますし、自信もつきます。興味が広がるし、さらにステップアップしたくなるんです。 実際、それを機にどんどんゲーム制作の仕事が増えていきました。 そうしたら今度はプロジェクト自体のスケジュールや進捗率とかが気になって、気が付いたらプロジェクトの運営自体に踏み込むようになっていました。

自然にそうなっていったんですか?

そうですね。 日々の仕事できちんと結果を出して実績を積み重ねていくことで、どんどんステップアップできるのがファルコムというところです。 そういう場所なので、やるべきことをやっているうちに、知らず知らず仕事の幅が広がっていたり、任されることが増えていたり、スキルアップしていたり、という感じですね。

なるほど。たとえば自分でシナリオを書いて、パッケージ用のイラストも描いて、ゲーム用の3Dモデルも作って、TVCMも作るなんてこともアリなんでしょうか?

アリです。それがファルコムの特徴でもあります。かっちりした組織に人を当てはめるのではなく、人それぞれの力を伸ばして結び付けていくという発想なんです。 仕事をしながら自分の能力を伸ばしたり、可能性を探っていこうという考え方なので、意欲的に挑戦したい人にはとても良い環境ですね。

何にでも挑戦できると?

そうです。それが、自然と出来ていく環境です。 職種という枠に縛られて、1人1人の持っている力を抑えてしまうのはもったいないでしょう。それぞれの可能性を生かすことが、ファルコムの可能性を開くことになると、僕は考えています。

それは各人の能力を尊重している結果ですね。

そうですね。会社を運営していく上で、規律や秩序、この部署はこの仕事という決まり事は必要ではあると思うんですけど、ファルコムは、できるだけそういうものを少なくして、柔軟でありたいと考えています。それぞれが持っている力を思う存分発揮して欲しいというところから、そういった形にしています。

ゲーム制作に携わりたいけど自分の経歴では無理なんじゃないかとか、経験や知識や技術がないからと諦めてる方でも、様々な形でゲーム制作に携われる会社があるんだということ知って貰いたいですね。自分ではまだ気付かない才能や能力があるのかもしれないということを考えてみて欲しいです。

社内風景

ゲーム制作のとしてのファルコム

ゲーム開発において、心掛けていることは何ですか?

「やるべきことをやる」

創業から変わらないファルコムのモットーです。 ゲーム制作だけでなく、全ての仕事において、常にやるべきことを考え、手を抜かず、決して見て見ぬふりをしないということを大事にしています。

丁寧な制作とは具体的にはどんなことですか?

歩く速度とか、街の広さはどれくらいが気持ち良いのかなど、街の隅から隅まで移動時間をストップウォッチで測ったりします。 自然に気持ち良くプレイできる操作感が、ゲームにとって非常に重要だと考えていますので、そういったところには特に気を使っています。 使い勝手といったような、目に見えない細かいところにこだわるのがファルコムの職人気質でしょうか(笑)

ゲーム画面
立川駅周辺の写真

オフィスのある立川の環境はどうですか?

立川は、最近では「~の聖地」とか「第三のアキバ」などと言われて全国的に知名度がアップしている街です。オフィスの周りには有名デパートや映画館、大型書店や家電量販店もあるので、欲しい資料や機材などもすぐに調達できて、非常に便利な環境ですね。東京駅や秋葉原などにも直通で行けますし、交通の便も良いです。ただ、ゲームショップがあまり多くないので、いつ行ってもファルコムスタッフと出くわすのが難点でしょうか(笑)

社内の雰囲気はどうですか?

「広い、静か、キレイ」です。
これは、ファルコムに来られた方々に必ず言われますね。 みんな集中して仕事をしていますので、あまり騒がしいことはないです。 1人1人のスペースも、集中を邪魔せず、コミュニケーションのとり易い広さを考えてレイアウトしています。

スタッフにとって良い環境を作る為にどんな事をしていますか?

定期的に僕自らスタッフの1人1人と話す機会を設けるようにしています。 その際に出た意見などを汲み上げて、実現出来ることはどんどん実行するようにしています。 僕の席は、社長室とかではなく、スタッフと同じフロアにあります。仕切りなどもありません。それもみんなと自由に意見交換できるようしたいという考えからなんです。

社内風景
社屋の写真

立川にあるファルコムのオフィス。会社と社員が一緒に成長できるよう、様々なことに挑戦しています。

ファルコムを今後どのような会社にしたいですか?
  またそのために何をしていますか?

個々の成長を全体の成長に結びつける仕組みを実現する会社にしたいと考えています。 そのためには、自分の意見を主張するだけではなく、相手の意見も尊重していく事が大事になっていくと思うんですよ。

ですので、定期的にミーティングを開いて、スタッフと情報や考えを共有していく場を設けるなどして、自ら実践しています。

なるほど。では、今後はどのような仲間を求めていますか?

まず、人の意見を聞いて、相手を尊重できる人。なお且つ、自分の意見や目標を持っている人を求めます。

ファルコムは個々が自立しながら、チームワークをとっているスタイルなので、ただ受け身なだけでは居心地が悪いかもしれません。 周りの状況や意見を取り込み、咀嚼し、発信できる人でないと置いてきぼりにされてしまいます。

それから、いろんな事に挑戦したいという貪欲な人もファルコムには合っていると思いますよ。「自分の仕事は自分で作り出す」というような気概のある人と一緒に仕事をしたいですね。

皆さまへのメッセージ

近藤季洋

最後に皆さまへのメッセージをお願いします。

ファルコムが30年以上、ゲームを作り続けてこられたのは、ゲームをプレイしてくれるみなさんのご支持があってのことだと思います。本当にありがとうございます。

「やるべきことをやる」というモットーを貫き、蓄積された豊富なノウハウと培われた信用、みなさまとのキズナという財産を生かし、個々の成長が全体の成長に結びつく場所となるべく、様々なことへ挑戦していきたいと考えています。

あなたの可能性が、ファルコムの可能性を広げます。

あなたの行動が、ファルコムの未来を拓きます。

ぜひ、私達と一緒に「ファルコム」を創造していきましょう。