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■パキラ

【タイトル】 闘神とその息子
【作者】 パキラ

 「ランディ、お前に手紙が来てるぞ」

「おぅ、サンキュー」

日が傾いてきた夕方、
部屋に来たロイドから手紙を受け取り、ランディは
封を切った。
(俺に手紙を送ってくるような奴は思いつかないな…)
そう思いながらは手紙を読み進めていく。

「ーッ!」

「どうしたんだ?」

ランディの反応にロイドが不安そうに聞いてきた。
それぐらいの反応だった。

「いやぁ、モテる男はつらいなぁ♪フランちゃんから
呼び出されちまったぜ♪もしや恋の告白か?
ちょっと出てくるな〜。」

「そんなんじゃないだろ…」

呆れるロイドをよそに、ランディは急いで
支援課のビルから出て行った。

 それから少しして、ロイドはセルゲイに呼ばれ、
警察署に来ていた。

「あ、ロイドさん。」

「あれ?フラン。」

ランディといるはずのフランが受付にいた。

「ランディはどうしたんだ?」

「どうしたって?」

「手紙でランディを呼んでたじゃないか。」

「してないですよ?それにもし呼ぶなら
手紙じゃなくてエニグマで連絡をしますよ。」

「そ、それはそうだけど…」

(それじゃあ、あの手紙は誰からで、ランディは
どこに行ったんだ?)

 日が沈み、闇に包まれたなか、ランディは
かつて銀と戦った星見の塔に来ていた。
しばらくして、暗闇の中から1人の男が現れた。
「久しぶりだな、ランドルフ。」

「今さらなんの用だ、クソ親父。」

そこにいたのは、猟兵団 赤き星座のリーダー
そして、ランディの父親だった。

「感動の再開にそんな言い方はないだろ

「るせぇ、さっさと用件を言いやがれ。
あんな手紙で呼び出しといて何が感動の再開だ。」

「今晩あの街を襲撃する」

「!!」

赤い星座が動く場にいる者は皆殺しである。
目撃者はすべて消す。それが赤い星座のやりかただ。
かつてそこにいたランディにはその意味がわかっていた

「・・・なぜわざわざあの街を襲う。
あんたの利益になることはないはずだ」

「新しいスポンサーの頼みでな、
ある特別なこどもを連れてきてほしいんだと。」

「キー坊・・・キーアのことか」

「誰だそいつは?」「ごまかしてんじゃねぇ!!答えろ!!」

おそらくそのスポンサーはあの事件で警備隊が
IBCに攻めてきたときのヨアヒムとの話を
聞き、太陽の砦のデータを修復させて
キーアについての情報を得たのだろう。
赤い星座の力をもってすれば十分に修復も可能だ。

「教えてほしいなら戻ってこい。
いくら息子でもうちの1員でもないやつには
これ以上は教えられん。
お前はお前が思う以上に優秀だ。だから—」

「断る」

「なに?」

「俺はもうあのクソみたいな場所には戻らない。
俺はクロスベル警察特務支援課の
ランディ・オルランドとして生きていく。
あんたの駒には戻らない!」

「あの街は今日でなくなるのに警察を続けるのか?」

「させない。お前を止めて、あいつらも、キー坊も、
みんな守ってみせる!」

「フッ、俺に牙をむけるか。だが、息子は親には勝てんものだ」

風が止み、静寂が訪れる。その中で今、
闘神とその息子の戦いが始まった。


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