≪前頁 ・ 第7回展示室へ戻る ・ 次頁≫

■mana+

【タイトル】 なんでも屋さんのkyujitu
【作者】 mana+

ミシュラムに幽霊が出るというのは本当だろうか。
そんな依頼がきたので、
私、マリーブランシュはかねてから行きたいと思って
いたテーマパークのある地・保養地ミシュラムに行く
ことにした。

事の発端は、買い物を楽しんでいるところであった。
「みっしぃが逃げたぞー!!!」
その声に混乱した周囲に押され、私はくれぇぷを床に
落とした。決して安くはないそのくれぇぷを…
楽しみにしていた、その味を…
「許さない許さない絶対に許さない
とっちめて弁償させてやるッ」
そういうワケで追いかけることにしたのであった。

そこは邸の前だった。
「見失っちゃったか…」
追いかけてみたはいいが、行動が少し遅かったか。
もう諦めて帰ろう…としたそのとき、
赤毛の少女と目が合った。
「お姉さんもなにか探し物?」
「探し人…ていうのかしらね、あの猫みたいなやつ。
そういうあなたはどうしたの?」
「うん、ハティはね。あの猫さんに大切なブローチ盗
られちゃったの。」
「それって、この先に逃げ込んだ?」
ハティは頷いた。私は少し考えた。
門は閉まっているが、飛び越えれば中に入れる。
「でも、これは流石に不法侵入ってやつだわ」
食い物の恨みはあれど、修行不足なのも悪い。
だが、やっぱとっちめたいとっちめたいとっちめたい
そういうワケで中に入ることにしたのであった。

それからどのくらい時間は経過したのであろうか。
「迷っちゃったねー」
ハティは呟いた。
「あのね…、何度も言いますけどね。
何で付いてきちゃったのかな?」
「だって、そっちのほうがいざってとき、
迷子を保護しましたってお姉さんいえるでしょー?」
そういって強引についてきたのである。
「それはテーマパーク内の話じゃないかしら…」
私は頭を抱えた。
「あ。ねぇ取り敢えず、
次はあの部屋に入ってみようよ」
ハティはそういうと勝手に扉を開けた。
「この部屋は…倉庫かしら?」
「うーん。この黒いケースとか怪しいよね。」
「まさかとは思うけど、
人とか入っていないわよね…?」
「あの猫さんが入っていたりしてー、なんてね」
「まさか、そんなベタなことが…」
「じゃあ開けてみるね。」
私が制止する前にハティは黒いケースを開けた。

「まさか本当にこんなことが…」
あまりにもベタすぎて私は開いた口が塞がらない。
「あの猫さんとハティの探し物みっけ」
よくみると、みっしぃの横に小さなブローチが置かれ
ている。
「そういうことで、まだ話したいことはあるけれど、
お迎えが来ちゃったみたいだし。またね、古風なお姉
さん」
ハティはそういうと姿を消した。気配はもうない。

そういえば、すっかり忘れていたけど…。
ミシュラムに幽霊が出るというのは本当だろうか
という、依頼。

「まさか…、ね。」

くれぇぷ弁償してもらって上機嫌な私はこう記すこと
にした。

結論:幽霊はいない。

そして、私はノートを閉じた。

おしまい


≪前頁 ・ 第7回展示室へ戻る ・ 次頁≫