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Mermelada Pre Story - Title

   
始動 -IGNITION-
 
 門の前には黒塗りの馬車が停まっていた。その脇に長身の男が立っている。足元には守衛が二人転がっていた。
 館から出てきたメルメラーダに、長身の男は会釈をした。
「お迎えに上がりました。定刻通りですな」
Ignition「こちらはすっかり終わったわ。お前は?」
「はい。私の方も準備は滞りなく。後は実行に移すのみです」
 男が促し、メルメラーダは馬車に乗り込んだ。
「やはり、あの神官は輝晶石とともにここにいたわ。これで手札は揃ったわね」
 馬に鞭をくれながら、男が答えた。
「明日にも私に、塔内教会への赴任が決定されることでしょう。これであの厳重な塔に潜入を果せます」
「お前が神官とはね。悪魔が腹を抱えてひっくり返るわ」
 メルメラーダは、手に入れたばかりの輝晶石を掌の上で転がしながら笑った。
「あの塔には、確かに秘密があります。遙か昔に、あれ程の巨大な塔を建てる技術だけでも驚嘆に値します。しかもそれには、失われた古き魔術が関係している・・・・」
「これまで欲しい物は何でも手に入れてきた。今度は神の塔と、そこに眠る秘法。これを手に入れることができるのは、私しかいない。必ず手に入れるわ。必ず・・・・」
 





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