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■峯蔵 秋

【タイトル】 真実の先に
【作者】 峯蔵 秋

 親に捨てられた幼い兄妹。兄の名はアクセル、妹の名
はラミアといった。
 その兄妹を一人の男性が拾い、我が子の様に育てた。
兄妹を拾った男の仕事は、幼い二人でも解り、決して善
良な、まともな仕事ではなかった。
 だが二人は、そんな男を父と慕い、決して男の傍から
離れようとはしなかった。
 二人にとっては、愛情を注いでくれた、唯一の親代わ
りだったからだ。
 そんな幸せが終わりを告げた。

「軍だ! 軍と警察の奴等が攻めてきたぞ!」

 部屋の中は慌ただしく声が響き、金属がぶつかり合う
音。
嫌な感じがしたアクセルは、ラミアに部屋を出ない様
に言い、父の元へ急いだ。

 父の元へ行った時は、既に父は血を流し、息絶え絶え
で、何時死んでもおかしくない状態だ。

「父さーーーーーーーーん!!!!」

「アク…セルか…」

「父さん! 父さん!!」 

「アクセル。遊撃士と、軍と、警察の人間に、気を付け
ろ……! 奴らの中に……!」

 アクセルの頬に触れていた手は床へ落ち、もう動く事
は無かった。

「父さん! 父さん! うあああああああああっ!!」

 父が死んでから十年。妹のラミアと万屋を開いた。
する事は遊撃士や一部のクロベス警察と変わらないが、
大きく違うのは、依頼が悪事でも受けるという事だ。
小さい頃から見ていた汚い世界。見える世界も大きく
広がり、多種多様な情報も膨大に増えた。
表でも裏でも、その人気は引けを取らない。

「兄さん、依頼が来たわ」

「解った。今回の依頼も、立ち塞がる奴は退ける!」

 兄妹は、同じ境遇と志を持つ仲間と共に、今日も依頼 
を遂行させる。その先の、真実を見つけるために……。 

■峯蔵 秋

【タイトル】 記憶を求めて
【作者】 峯蔵 秋

 気が付けば、何処かの建物の一室にいた。部屋に呼び
に来る大人が一人。いつも白衣を着ていた。

「ゼクス、メンテの時間だ」

 名前は番号。自分は六人目だと、誰かが言った。メン
テナンスと称して、体内に薬を打ち、身体を弄る。
自分は何者で、誰なのか。一度見た映像を見れば、寸
分の違いなく、動きを模倣する事が出来る。
そんな日に終わりを打ちたい。目の前を通り過ぎる屍
を見る度に思い、衝動に従った。

 悪夢の建物から逃げ出して十年。自分は建物にいた人
を殺め、どうやって外の世界に飛び出せたのか解らない。
ただ、今こうして成長し続けれるのも、目の前にいる
神父の御蔭だ。

「ケビン神父! シスターリースが探してましたよ?」

「そうか。じゃあゼクス、俺の代わりに使いを頼まれて
くれへん?」

「はい、ケビン神父!」

 ケビン神父から使いの内容を聞き、目的地へと向う。
その後ろ姿を、ケビン神父は見送った。

「ケビン」

「リースか」

「ゼクス、昔に比べて笑うようになったね」 

「あぁ。けど、あの子は自分が誰なのか解ってない。初
めて会った時の太刀筋、ヨシュア君やリシャールさんと
全く同じ剣筋で攻撃してきた。二人は面識が無いと言っ
ていたし、ゼクスは一体何者だろうね?」

「ゼクスはゼクス。過去に何があろうと、私達の知って
いるゼクスに変わりない」

 教会を出た後にそんな話がされているとは露知らず、
頼まれた使いを終わらせた帰路で、大型の魔物と対峙す
る破目になった。

「相手してやるよ。身体が疼いているんだ」

 この高揚感が何なのか、俺は何も知らないでいた。


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