改めて再会の喜びを分かち合うリィン達。しかし休む間もなく、今後の方針を決める会議を開いた。

『この内戦下で《VII組》はどう動きたいのか』オリヴァルト皇子が問いかける。

──この国の“ままならない現状”を少しでも良くする事はできるのではないか。リィンは仲間を代表してそう答えた。

皇子とアルゼイド子爵は、リィン達にカレイジャスを預ける決断をし、別行動をとる為に船を離れる。

それにともない、代理艦長はトワが務める事となった。

トワの提案で、行動を起こすための“大目標”と“指針”が決まる。

“大目標”は、士官学院の奪還──

“指針”は、各地に散らばった学院生を探し、協力を得る事。

指針に則って動いていたリィン達は、ある時アンゼリカから連絡を受ける。

《ラインフォルト社》が貴族連合軍に属す彼女の叔父に占拠されており、

会長であるアリサの母、イリーナが監禁されているという内容だった。

すぐさま本社のあるルーレ市に赴き、アンゼリカと合流する。

事情を聞くと、貴族連合軍から離脱させる為に父ログナー侯爵と交渉したが、決裂。

力ずくでルーレ解放作戦を決行しようとしていた。

リィン達も協力し、まずはイリーナの捜索に乗り出す。

アンゼリカの先導で、イリーナの居場所を突き止めた一行。

なんとか救出に成功し、間髪を入れずに本社ビルへ赴いて、会社も奪還するのだった。

そしてログナー侯爵を説得するための壮大な親子喧嘩はアンゼリカが勝利。

侯爵は貴族連合軍からの離脱と内戦への不干渉を宣言した。

すべてが順調に進み、ルーレの事件は一件落着と思われた……その時である。

帝国解放戦線《Ｖ》ヴァルカンが大型機甲兵に乗り、襲いかかってきた。

勝敗は、辛くもリィンが打ち勝つ。一方で相当の負荷がかかったのか、ヴァルカンの機甲兵は爆発の危機に陥る。

ここを死地と決めていたヴァルカン。その末路に、リィンは悔しさを滲ませた。

ルーレでの一件後、カレイジャスは帝国各地の《精霊窟》を巡り、ヴァリマールの武器の強化に努めていた。

そんなある日、正規軍から悲報が届く。

ケルディックが焼き討ちされた。

命じたのはケルディックの領主──アルバレア公爵だった。

単身で向かおうとするユーシスを諭すところへ、ルーファスから通信が入った。

焼き討ちは公爵の独断であり、この件に連合軍は一切介入しないので好きに対処するといい。

ユーシスは覚悟を決め、一行はバリアハートのオーロックス砦へと急いだ。

砦への侵入に成功し、いよいよ制圧を開始しようとした時。緋色の高起動型機甲兵が立ち塞がった。

操縦者は、帝国解放戦線《Ｓ》スカーレット。ヴァルカンと同じく、死地を求めていた。

勝敗がつき、スカーレットの機体は超加速の代償に爆発寸前に陥る。

リィンは迷わず接近し、コクピットを取り出して距離をとる。

彼女の命に別状はなかった。そこへ聞き慣れた声がかかる。

騎神に乗ったクロウ。スカーレットの様子を確認すると、機体は再び遠のいていった。

その後、アルバレア公爵は息子であるユーシスの手によって拘束。

公爵の指揮下にあった兵を撤退させ、アルバレア家は内戦から手を引いた。

《四大名門》の半分を失った事により、貴族連合軍は残存戦力を帝都周辺に集中。

これにより、他の地域は手薄となっていた。

宿願を果たすため、いよいよトリスタ奪還作戦を開始するのだった。

街に残っていた貴族連合軍を退けると、住人達は温かく迎えてくれた。

声援を糧に、トールズ士官学院を目指す。

正門では、パトリックを筆頭に貴族生徒が待ち構えていた。

貴族としての誇りや矜持の置き場を見極める為、勝負を仕掛けてくる。

各々が好敵手と剣を交え、ついに《VII組》が勝利を収めた。

パトリックは結束を誓い、有角の獅子紋のもと学院生全員が“第三の道”を歩む事となった。