英雄伝説 閃の軌跡IV - THE END OF SAGA -

SEN NO KISEKI ダイジェスト 閃の軌跡III

警告 WARNING

このコンテンツには「英雄伝説 閃の軌跡III」に関する重大なネタバレが含まれています。

第2章「相克そうこくのクロスベル」

──各々の部活動が始まり、忙しくも充実した日々を迎えた5月。

ある日の夜、リィンは同僚のランドルフと宿酒場で酒を酌み交わす機会を得る。

クロスベルの《特務支援課》での事、そして、リィンが以前対峙した“捜査官”の話を語るランドルフ。

互いに無意識に壁を作っていた2人は、学院で働く“仲間”としてようやく打ち解けるのだった。

──翌日。

午後に行われたブリーフィングに、予期せぬ来客が訪れる。

セドリック・ライゼ・アルノール。
エレボニア帝国の皇太子であり、トールズ士官学院・本校の候補生。

彼の口から、次なる演習先が伝えられた。

帝国最東端の国際貿易都市──
1年半前に併合された『クロスベル州』。

来訪する視察団の警備の“保険”に、分校を投入する手筈になっていた。

その後、セドリックに声をかけられ屋上へ移動したリィン。

《煌魔城》での己の不甲斐なさを悔い、セドリックは何者にも屈しない“揺るぎない力”を欲していた。

そして分校を“二軍”と言い放つ彼に、本校への転任を持ちかけられる。

生家が皇族守護職を外された事情で入学を辞退していたクルトにも、セドリックは傲岸な態度で勧誘する。

言葉の節々に見られる分校への蔑視。皇太子の変わりように、リィンとクルトは驚きを隠せなかった。

──しかし、波乱の兆しは翌日の機甲兵教練へ持ち越される。

セドリックが本校生徒2名を連れて、親善試合をしに来たのだ。

相手にVII組を指名され、躊躇しながらも機体に乗りこむクルト。

分校チームが勝利を収めるが、セドリックは自身の成長ぶりを誇示する。

そんな皇太子の様子を、オーレリアとIX組のミュゼが並び立って見届けていた。

──そして数日後の出発日。

故郷へ帰省する形になったユウナ。

“宿業の地”と向き合う事となるリィン。

それぞれの憂いを乗せ、列車はリーヴスを発つのだった。

──翌朝。
クロスベル市郊外の演習地に到着。

VII組は演習開始の報告をする為、まずは市内の《オルキスタワー》へ。

クロスベル州初代総督、ルーファス・アルバレアのもとへ向かうのだった。

ルーファスから要請書を受け取る4人。

『重要調査項目』には、突如出現した“幻獣”について書かれていた。

《特務支援課》の代わりを果たせるよう、気合いを入れるユウナ。

エントランスに戻ったリィン達は、ある人物と鉢合わせる。

それは旧VII組のマキアス。勤務先である《司法監察院》の出張で、彼もクロスベルにやって来ていた。

マキアスと別れた後、街区の巡回を終えた4人は依頼者のティオ・プラトーと面会。

バグが発生した制御端末を直す為、魔獣の蔓延る市内の地下区画へ護衛を頼みたいとの事だった。

支度を整え、《ジオフロントF区画》を進む一行。

終点の端末室に辿り着き、さっそくティオが作業を始めようとした、その時──

空間が揺らめき、1体の《魔煌兵》が現れた。

リィン達は端末を守りつつ応戦し、撃破。

帝国に由来する魔煌兵が、クロスベルにも出現した……

その意味を思案する間もなく、もう1体が姿を見せる。

体力を消耗し動けない5人。そこへ、一筋の光の矢が放たれた。

導力弓を構える金髪の娘──旧VII組のアリサ。

そしてメイドのシャロンが、上階からこちらを見下ろしていた。

2人の強力な連携攻撃に、魔煌兵は咆哮をあげて消えていく。

リィンとの再会を、瞳を潤ませて喜ぶアリサ。

その後、端末の調整を済まし、共に演習地へ戻るのだった。

幻獣への警戒を強めたリィン達は、シャロンを助力者に加え調査ポイントである湖の岸辺へ向かう。

そこで、淡い光を発した緋色の花を見つける。

以前この地で咲いていた、蒼い“プレロマ草”との繋がりを推測する一同。

すると、背後で再び空間が揺らぎ巨大な幻獣が現れた。

シャロンの力添えもあり、幻獣を撃退するVII組。

念の為に緋色の花を採取し、持ち帰る事にするのだった。

湖畔からの帰り道。リィンに自身の過去を明かすシャロン。

かつて結社の執行者としてルーレ市に潜入した際、任務を失敗し1人の命を奪ってしまったという。

その人の名は、フランツ・ラインフォルト。
アリサの父親であった。

演習地に戻った後、次の活動方針として《緋いプレロマ草》と、魔煌兵や幻獣の関連性を調べる事が決まる。

──時を同じくして、皇室専用・儀礼艦《パンタグリュエル号》がオルキスタワーへ到着した。

レーグニッツ帝都知事にイリーナ会長、オリヴァルト皇子やアルフィン皇女、付き人として同行していたエリゼ。

視察団の様子を列車内のモニターで見届け、VII組は特務活動を再開するのだった。

そして調査依頼のあった街道の外れで、同じく緋いプレロマ草を発見する。

周囲を窺い身構えていると、挑発するような少年の声が突然響き、続けて巨大な植物型幻獣が現れた。

あまりの桁違いの大きさに、すぐさま騎神を呼ぶ体勢をとるリィン。

しかし、その少年に障壁を展開され、騎神への思念が遮断されてしまう。

覚悟を決め《神気合一》を発動。間一髪で幻獣を消滅させる。

ところが鬼化は戻らず、左胸を抑えてうずくまってしまう。

興味深そうに煽る少年の声。するとそれを遮るように、無数の黄金のツタが障壁を砕いた。

杖を構える旧VII組のエマ。

黒猫のセリーヌがリィンに近寄り、力を安定させようと術を施す。

少年はわざとらしく残念がると、笑い声を響かせ消え去るのだった。

一通りの調査を終え、エマを市内へ送り届ける道中──

彼女は、卒業後は魔術の修行に励み、クロチルダを捜し続けていた事を語った。

旧VII組の話に花を咲かせるリィン達。そんな彼らの目にある光景が飛びこんでくる。


RF社製《ドラグノフ級列車砲》が4基。

新型の列車砲を載せた運搬列車が、国境方面へと向かっていった。

──市内でエマと別れた一行に、トワから通信が入る。

突然総督府から連絡があったらしく、オルキスタワーで開かれる晩餐会の警備に分校が参加する事になるのだった。

演習地を鉄道憲兵隊に任せ、指示通りにタワーで待機する分校関係者。

その間、ルーファス総督の計らいで、リィンと新VII組、そしてⅨ組のティータは招かれたゲスト達と面会する機会を得る。

オリヴァルト皇子やアルフィン皇女、エリゼとも積もる話を終えた後、元の待機場所へ戻ろうとする一行。

しかしリィンはルーファスに呼び止められ、1人別室へ移動する事に。

オズボーン宰相の実の息子であるリィンに、ルーファスは自身が如何に《鉄血の子供達》筆頭となったかを語る。

その経緯には、義父シュバルツァー男爵も関わっていた事を知り、リィンは複雑な想いを抱くのだった。

やがてつつがなく晩餐会が終了し、視察団が移動するまでの待機時間中──

リィンはミュゼの立ち話を聞いてしまい、彼女が事情を抱え、女学院から第II分校に転校してきた事を知る。

思わせぶりなミュゼを伴い、自分達の待機場所に戻ろうとした時……重々しい地響きがタワーを揺らした。

休憩室の端末に映る屋上の映像。揚陸艇に火の手が上がり、その傍には2人の執行者の姿が。

リィンが人だかりを抜けて走り出すと、新VII組も、そしてアッシュとミュゼも、教官陣の制止を聞かずに駆け出した。

リィンは途中でシャロンと合流し、屋上へ辿り着く。

そこにいたのは《劫炎》のマクバーン。そして《道化師》カンパネルラだった。

ユウナ達も追いつき、二方向で迎撃する。

鬼化を使ってこないリィンに、マクバーンは魔人化をほのめかし挑発。

劣勢に追いこまれ、決断を強いられたリィン。そこへ、突如転位陣が展開される。

攻撃態勢をとり現れたマキアスとアリサ。続けてエマも姿を見せると、揚陸艇の焔を消し去った。

オリヴァルト皇子やルーファス総督も駆けつけ、リィン達を守るように陣取る。

問い質すオリヴァルト皇子に対し、執行者の2人は、袂を分かったクロチルダの捕捉に動いていると簡単に明かした。

そして結社の“実験”に話が及ぶと、カンパネルラの合図で紫色の《神機アイオーンβII》が現れる。

翼を広げた不気味なシルエットに圧倒されるリィン達。

そのまま消え失せようとする2人に、ユウナは《特務支援課》の存在を挙げ、勝ち気に言い放つ。


しかし、カンパネルラは思わせぶりにルーファスを見やると、代弁するように語りだした。


ミシュラムの街一帯を“鳥篭”に見立て、支援課の関係者全員を拘束。

市民感情の悪化を招かないよう、生かさず殺さず、徐々にフェードアウトさせるつもりだと。

今度こそ神機と共に姿を消した2人。

呆然とする一同の中、ユウナがふらふらとリィンに歩み寄る。

胸にすがり、訴えかける彼女の慟哭どうこくは、混沌とした夜空を突き抜けていった。

──2日目。
朝を迎えた演習地には、レクター少佐の姿があった。

取り出された要請書が、リィンの前に掲げられる。

『《結社》の狙いを見極め、 クロスベルの地の混乱を回復せよ。』

クルトとアルティナにユウナを任せ、旧VII組の3人と行動を開始した。

神機と“実験”。

この2つが鍵になると踏んだ4人は、あの巨体を動かす“霊力”を大量に供給できる場所を探す事に。

再びジオフロントに入り、エマの魔術とティオの技術で場所を絞っていく。

特定された座標は、《星見の塔》を示していた。

──その頃、列車内の一室でクロスベルにいた頃の話をするユウナ。

乗っていた運搬車が共和国軍のガンシップに襲われ、幼い弟妹を庇いながら無力さを噛みしめた事。

その時、命を救い上げてくれたのが《灰色の騎士》──リィンだった事を。

ユウナは当時の無力感と悔しさから、リィンへ反発心を抱いてしまっていた。

──そして旧VII組側では、オリビエという者が一行に加わる。

その正体はオリヴァルト皇子で、皇族としてこの問題に向き合いたいと、変装して駆けつけたのであった。

《星見の塔》に到着したリィン達は、屋上を目指し魔獣がうろつく塔内を進んで行く。

果たして待ち受けていた、マクバーンとカンパネルラ。

魔人化したマクバーンの焔をエマが必死に術で抑える。

リィンが騎神を呼び寄せようとするが、今度もカンパネルラの障壁に阻まれ為す術がない。

追い詰められたその時、複数の銃撃が執行者の2人を襲った。

躍り出たのはユウナ、クルト、ミュゼ。後方からアルティナとアッシュが牽制攻撃を仕掛ける。

そしてブースターを装着した機甲兵がヴァリマールと共に飛来し、障壁を砕いて着地。

ユウナが機甲兵に乗りこみ、リィンも騎神を駆って神機と対峙。


飛翔する相手を封じつつ、連携攻撃を重ねて導力機関を破壊。神機は崩れ落ちるように停止した。

喜ぶ新旧VII組の面々。しかしマクバーンの呼びかけに、ある“3人”が姿を見せる。

幻影を飛ばし、様子を窺っていた《蒼の深淵》クロチルダ。

そして別の一角には、《蒼》のジークフリードと名乗る仮面の青年と、浮遊する黒い球体。

青年は《地精》の長代理と明かすが、“それ以上”は何も語らない。

“実験”を終えた神機は、マクバーンの焔で溶かし崩され……

カンパネルラは『幻焔計画』奪還の見届けを開始と宣言。

仮面の青年は黒い球体に促され、《蒼の騎神》に似た“機影”に乗り空へ飛び去ってしまう。

転位陣を展開し、最後に立ち去るクロチルダ。残された彼女の言葉が木霊した。

『既に“物語”は始まっている。』
『帝国を、クロスベルを──世界を巻き込む“終わりの御伽噺”が。』

──その後、分校全体で《星見の塔》の事後処理が行われた。

現れた仮面の青年を想う旧VII組。しかしどうしても“あり得ない”事は、誰もが分かっているはずだった。


リィンはユウナに向き直ると、クロスベルの意地を見せた彼女に労いの言葉をかける。

ユウナは一瞬驚くが、嬉しそうに返事をするのだった。

──翌日、多くの者に見送られ、デアフリンガー号は演習地を発った。

セリーヌはリィンの“力”の制御を鍛える為、一時共に分校へ。

マキアス達旧VII組も、果たすべき“約束”の為、それぞれの場所で励む事を誓った。

達成感と清々しさに包まれた列車内。窓の外を眺めていたトワが声を上げた。

一同が見つめる視線の先……列車が来るのを眺めていたのは、《特務支援課》の関係者3名。

すれ違いざま、真ん中に立つ青年が拳を突き出す。

遠ざかるその方角へ、リィンも拳を合わせるのだった。